本日はお釈迦さまが涅槃に入られた日をご縁におつとまりになる涅槃会(ねはんえ)でした。
お釈迦さまが涅槃に入られた時、誰も「亡くなった、死んだ」とはおっしゃられず、「涅槃に入られた」と表現されました。涅槃とは「完全な安らぎ」という意味です。
「欲生我国(よくしょうがこく)」という言葉があります。「我が国に生まれるとおもえ」という意味です。私たちが死と名付けていることを「浄土という完全な安らぎの世界に生まれるとおもってくださいよ」ということです。
「死ぬと思うな、我が国に生まれるとおもえ」と言われても、なかなかそう思えないのが私たちです。自分の知識、経験が間違いないと思い込んでいる人は特に受け入れがたいのかもしれません。
しかしこのお言葉は、私たち人間が作った言葉ではなく、真実清浄なる仏さまのお言葉です。私たちはただただそのお言葉、お気持ちをいただくばかりであります。
この娑婆世界でのいのちが尽きるという事実は変わりませんが、それは死ではなく仏さまとしての新たな生が待っているのです。
仏さまに照らされ、「自分の知識や経験というものは確かなものではなかったんだ」と気づき、真実のお言葉を素直に受け入れる。
救いは往生の後ではなく、今まさに届いているのです。浄土を敬う人生を恵まれ、この世の縁尽きたら仏さまに成らせていただくいのちを生きていることに、ありがとうございますというお念仏の生活をいたしましょう。
来月は20日(日・祝)午後1時半より春季彼岸会です。